Updated : 2003/9/13 - All pages are written in Japanese only.
KH2GR グアム旅行記2
2003/9/5(金)〜9(火)
(2) . 5MHz 帯 (60m 帯) での運用について
1. 60m(5MHz) 帯って何?
アメリカの FCC が 2003/7/3 からアマチュアに二次使用を開放した、新しいアマチュアバンドです。ARRLからの周知文(W1AWブレテン)によれば、5MHz 帯の固定5周波数、USB、最大輻射電力 50W の制限つきながら、米国内で Gen 級以上が自由に使えるようです。
ARLB038 New 60-meter band becomes available July 3 The new five-channel 60-meter domestic secondary amateur allocation becomes available to US Amateur Radio operators at midnight local time on July 3. The FCC Report and Order granting the allocation was published June 3 in the Federal Register. Federal government users are primary in the 5 MHz band.
The FCC has granted amateurs use of five 2.8 kHz-wide channels with center frequencies of 5332, 5348, 5368, 5373 and 5405 kHz. The channels will be available to General and higher class licensees. The only permitted mode will be upper-sideband USB phone, and 50 W ERP is the maximum power allowed.
Users of the 60-meter channels should set their carrier frequency 1.5 kHz lower than the channel center frequency. ARRL suggests restricting transmitted audio bandwidth to 200 Hz on the low end and 2800 Hz on the high end for a total bandwidth of 2.6 kHz. ARRL recommends that amateurs considering modifying existing amateur equipment for operation on 60 meters contact the equipment's manufacturer for advice.
2003年9月現在の時点で、5MHz 帯へ QRV 可能なのはアメリカとイギリスのアマチュアのみです。以下は HFpack の情報からの抜粋です。日本は残念ながら含まれません。
中心(KHz) 表示(USB/KHz) 米国 英国 備考 5,169 5,167.5 アラスカのみ × 緊急時のみ 5,195 5,193.5 × × ドイツのビーコン 5,260 5,258.5 × ○FA 5,280 5,278.5 × ○FB 5,290 5,288.5 × ○FC 5,332 5,330.5 ○ × 5,348 5,346.5 ○ × 5,368 5,366.5 ○ × 5,373 5,371.5 ○ × 5,400 5,398.5 × ○FE 5,405 5,403.5 ○ ○FM 出力 50W ERP 200W モード USBのみ 帯域3KHz 以内の全て 免許 Gen以上 実験局のみ 幸い、グアム島はアメリカ領 (アメリカ合衆国グアム準州・FCC管轄下) ですので、FCC の General 級以上のアマチュア免許保持者であれば、この恩恵に浴することができます。せっかくの機会ですので、グアム旅行のついでに現地から QRV することにしました。
ただし、グアムの周辺にはサイパン島 (北マリアナ諸島・KH0) 以外に 5MHz 帯に出てこれそうな国や地域はありませんので、必然的に他バンドとのスプリット QSO になります。伝播特性を考えると隣接したバンドが適切で、3.8MHz 帯と 7MHz 帯のどちらにするか悩みましたが、多分 7MHz 帯の方が運用可能んハムが多いだろうと考え、グアム側は送信 5MHz USB、受信 7MHz LSB で実施することにしました。
2.使用した無線機とアンテナ
市販の無線機では、もちろん 5MHz帯 にそのまま QRV できる訳ではありません。一部の機種は、いわゆるゼネカバ送信改造によって、表示周波数の全てで送信動作をさせることができますが、IC-706 などでは 5MHz 帯ではフィルタが過熱するなど問題があるようです。だからと言って、5MHz USB の送信機を専用に一台準備するには時間が足りません。何せ、計画を立ててから旅行までは1ヶ月ありませんから。
最初は、滞在先の PTDXC レンタルシャック の設置機器 (FT-1000MP Mark-V) を改造させて貰おうか、などと考えていたのですが、手持ちの ALINCO DX-70G (HF〜50MHz 100W) が改造可能かどうか、有名な無線機改造情報サイト mods.dk で調べてみたところ DX-70 の該当があり、JA 使用の無線機で可能かどうか、半信半疑だったのですが、実際にやってみたらOKでした。ダミーロード相手に送信してみますと 100W しっかり出ていて、フィルタの過熱もないようです。そういう訳で、この DX-70G を持参して運用することにしました。
アンテナも問題です。50W ERP の制限もあることだし、ダイポールを作ってしまえば済むのですが、現地滞在は短いのである程度の準備が必要です。そこで、国内の移動運用で使っているダイヤモンドの DP-7RH を使い、先端に直径 40cm 程度のアルミ線で作ったキャパシティハットをクリップ止めしてみましたら、屋内実験で共振点が 4.9MHz に落ちました。これを、時間が無い時の仮設アンテナとして持参することにしました。
さて、実際にグアムに到着し PTDXC のレンタルシャック (Danny宅) に行って見ると、何とマストの頂上から T2FD オールバンドダイポール (リンク先は例)があがっているではありませんか?。これはラッキーです。
T2FD はロンビックなどと同じ進行波タイプのアンテナで、最低使用周波数の 1/3 波長の全長を持つフォールデッドダイポールです。給電部の反対側はダミーロードで終端され反射波はここで吸収されるため、広帯域に渡ってインピーダンスが安定する特性があり、短波の業務局でよく利用されています。反面、同一サイズの共振形のダイポールアンテナに比べて利得がかなり低いのが欠点で、-3〜10dB 程度になるのではないかと思います。
私も 1995 年の東京在住時、住んでいた寮の屋上にハーフサイズの T2FD アンテナを上げていましたが、21MHz や 28MHz などのハイバンドではそれなりに機能するものの、7MHz や 14MHz では全くと言っていいほど飛ばず、ノイズが少ないことから受信・ワッチ用と割り切って使っていました。が、十分な出力が出せるなら利得の不足はカバーできる訳で、1KW AMP が備えてある PTDXC シャックではかえって好都合ですね。また、今回は 7MHz とのスプリット QSO ですから、アンテナをいちいち切り替えずに済むのも助かります。
とは言うものの、5MHz 帯では最大輻射電力 50W の制限がありパワーはかけられませんし、シャック設置のリニアアンプも 5MHz 帯には対応していません。また、この T2FD アンテナが実際どの程度の利得を 5MHz 帯で示すのか未知数です。そこで、最大輻射電力 50W の規定を万が一にも超過しないよう、DX-70G の内部ジャンパを設定して出力を 50W に制限して使うことにしました。
3.運用
夏のコンディションですからローバンド運用は夜遅くが適切です。また、今回の移動運用は AA コンテスト期間と重なっています (コンテスト参加が主目的だから当然?) ので、7MHz 帯とのスプリット QSO をする以上、コンテスト時間中の QRV は難しくなります。それでも日曜夜なら空いてきていいのでは、とも思っていたのですが、日曜は色々とすることがあって体力を使い疲労困憊、衛星の QRV もあるので出せませんでした。そのため、到着直後の 9/5(金) 夜と帰国前夜の 9/8(月) の2回のみ QRV しました。
QRV にあたっては、開始直前に運用周波数を JARL の DX-ML に投稿することにしました。誰かが交信してくれればクラスターに載って、他の局・国からの呼び出しがあるかも、と期待しての運用です。…とは言え、結局は JA 局オンリーとなってしまいちょっと残念です。
運用を開始してみて困ったことがひとつ。DX-70G の A-VFO に 5MHz USB、B-VFO に 7MHz LSB をセットし、B-VFO で受信状態にして SPLIT モードでの運用をしようと試みたのですが、この状態で送信すると 5MHz が USB ではなく LSB になってしまうのです。表示だけでなく実際に信号をワッチしても LSB で、どうやら DX-70G は LSB/USB 間のスプリットは無理のようです。そこで、スタンバイするたびに VFO 切り替えスイッチを操作することになり、スタンバイがやや緩慢となって苦労しました。
グアムで受信した 5MHz 帯は、変なノイズや妙な信号が多数あり、使用可能な 5MHz 帯の5周波のうち上の4つは QRM で使えませんでした。唯一、一番低い 5332KHz がクリアでしたので、帯域 2.8KHz を収めるために USB のキャリア周波数を 5330.6KHz にして QRV しました。7MHz の受信も同じ T2FD アンテナですが、7090 付近の空き周波数を見つけて「CQ CQ this is KH2GR listening 40m QSX 7093 7093…」と言う具合でアナウンスを行いました。
4.結果
VFO スイッチを押しながらのスタンバイは予想以上に疲れますね。普段使っている PTT スイッチによる送受信切り替えが如何に楽なものか痛感しました。衛星の運用や日中の疲れなどもあって、あまり長時間の運用を続けることができず、2日間の2回でトータル2時間半程度の運用にとどまってしまいました。
交信局は以下の通り、計 77 QSO でした。
9/5(金) 22:04〜23:05 JST 28 QSO JF2UED, JA6KYU, JE2OVG, JP1NWZ, JA7BWT, JH8NBJ, JA7GDU, JL4ENS, JA9CHI, JA1OGX, JA5AUC, JA4EQB, JL1UXH, JA7JH, JA6AVT, JA1PCY, JS3CTQ, JH1MXV, JH0IXE, JA4LKB, JA2VPO, JA1ADN, JA2SGH, JA3HBF, JH5NUW, JA1JMF, JH1BAM, JA5IU
9/8(月) 20:34〜22:10 JST 49 QSO JF1UVJ, JR1BAS, JM1LRQ, JA6ARJ, JH0WYT, JA7AO, JA7BEW, JF2WXS, JK1FNL, JA0DWY, JJ1HQX, JA1NWD, JA2BUR, JR1TRK, JA1OZK, JF2IGP, JA1HGY, JA1BWA, JA1DOF, JH9AUB, JE1SYN, JG1OWV, JA1RZD, JA7MSQ, JA1EOD, JG3HBO, JA6PL, JL3SIK, JA9APS, JR1CBC, JR7VHZ, JA1AMP/2, JR4LNG, JA2VMU, JE1NCP, JA2QCX, JA1CCO, JG8DIV, JE1SGH, JA3BZC, JA6VQA, JE9WSD, JK1AFI, JA5WIZ, JI1CQA, JE1CCD, JP1GUW, JL1XMN, JR5XPG
5MHz 帯の 2way QSO ではないため、5MHz 帯で自分の信号がどのように聞こえたのかなど、コンディションを実感することができなかったのが残念ですが、貰ったレポートの大半が 57〜59 で意外に良く、貧相なアンテナと 50W 出力のわりに、非常に良く飛んだと言うのが感想ですね。T2FD アンテナの全長が 30m に近く、5MHz の半波長にうまく合って能率が高かったからかも知れません。また、7MHz 帯と違って QRM が少ないため、よく聞き取れただけなのかも…。もちろん、交信相手の JA 局側も 5MHz 帯用のアンテナで受信している訳ではなく、大半の方は送信で使っている 7MHz 用のアンテナをそのまま使って受信されていた訳ですし、中には 41 や 51 のレポートをいただいた局もありました。これも、他バンドとのスプリット QSO の難しさですね。
運用時間が短かったこと、週末の土日が AA TEST で 5MHz 帯を出せなかったこと、他の用事などで疲労していたことなど、せっかくのチャンスの割にあまり交信できなかったのが残念です。やはり、こういう実験は、メジャーな DX コンテストのない週末にやるべきでしょうね。
5.今後
せっかくの 5MHz 帯ですから、できれば米本土との 2way QSO もやってみたかったと思います。次回は米本土にしっかりアナウンスをしてから運用したいと思います。できれば T2FD ではなく、専用のダイポールを立てて…。
PTDXC シャックのオーナー KH2JU Danny 氏は、5MHz 帯で送信可能な SGC-2000 と言うHFリグを所有しています。シャックに 5MHz 帯の運用可能周波数の表を残してきましたので、彼が気が向けば 5MHz 帯に QRV してくれるのでは、と思います。また、PTDXC のレンタルシャックを利用される予定の (FCC免許保持者の) 方は、ぜひ 5MHz 帯で送信可能なサブ機を持参して、現地から運用されることをお勧めしたいと思います。
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Edited by : Yoshihiro Imaishi 今石良寛
JF6BCC, KH2GR, ex-T88IY, ex-V63BP
mailto: jf6bcc@nospam.jarl.com
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