Updated : 2001/10/24
AO-40 S1帯ダウンリンク (2400MHz) の運用試験結果
by AO40RCV 画面キャプチャ
オービット#350 から S1 帯 (2400MHz) によるトランスポンダの運用試験が開始され、欧米のハムから S1 ダウンリンクの強力さが報告されていましたが、日本でも2001/8/5(日)の 18:58〜翌04:56 の AO-40 のパス(オービット#352)から、実際に体験することができました。S1/S2 送信機切替の前後で、AO40RCV を使って信号の S/N 比の変化を見てみることにしました。
1. MA=44 で S2-MB (2401.323MHz) が停止し、S1-EB (2400.600MHz) に切り替わる。
80cmφの Dish、JI5MFZ 吉田OM式改造を施した(推定 NF 2dB の) ドレーク 2880 コンバータ改造品、5C-2V 20m、FT-817 によるビーコン受信信号を比較しました。

Fig.1. S2-MB → S1-EB 切り替え前後の信号比較
S2-MB に対して S1-EB は、並列受信中の IC-821 のSメータで 1.5〜2 ほど強く、上図の S/N 比も 4〜5dB ほど良いようです。しかし、ここではあまり差が無いようにも見えますが、ビーコンの送出レベルに違いがあるのでしょう。実際のダウンリンクは S2 に比べて格段に強くなりました。
U/L1 → S1 でのトランスポンダの運用試験中、私は 435MHz(U) から 11 エレクロス八木で Uplink をしていたのですが、SSB でも 20W では強すぎ、5〜6W でもちょっと強いかな?、と言う感じでした。80cmφ Dish をマキ電機の 29 エレループに交換して SSB で運用しましたが、全く問題無く交信できました。
2. MA=80 で S1-EB が停止し S2-MB に切り替わる。

Fig.2. S1-EB → S2-MB 切り替え戻し前後の信号比較
MA=80 で S1 運用が終了し S2 に戻りました。上記の通りビーコンのレベルにはさほど大きな差があるようには見えませんが、帯域内の信号はガクンと落ち、80cmφ Dish に戻しても SSB だと「ようやく何とか」のレベルになってしまいました。
S1帯のダウンリンクの強さは「想像以上」ですね。
3. アンテナを替えて試してみた。
オービット#357 のチャンスで、MA=44 の前後にいくつか測定を行っててみました。
3.1 : S1 と S2 のダウンリンク強度の違い
S2 のビーコンは MB、S1 のビーコンは EB で、送出レベルが違うため単純な比較ができません。そこで、435MHz から11エレクロス八木で同じパワー(10W)でアップリンクして、その返り信号の S/N を比較してみることにしました。厳密には U-AGC の補正が必要なのですが、まあ今回は目をつぶりました。
で、80cmφのDishに、JI5MFZ吉田OM式改造を施した2880を受信に使って比較したのが、下の図の (1)〜(3) です。
Fig.3. 均一なアップリンクの返り信号の比較(1) は S2、それが (2) で S1 に切り替わると、S/N は +7dB 上がりました。その状態でパワーを 10W→1.5W に絞ったのが (3) です。この結果からみて、S1 と S2 の差は(SQA=11度前後の状況では)7〜8dB と言うことになります。SQA がもっと低ければ、もっと差が出たかも知れませんね。
3.2 : 貧弱なアンテナだとどうなるか
S1 帯の運用時、80cmφDish に NF 1.8dB 程度のコンバータを使ったのが (2) です。それに対して、マキの29エレループにミリコムMC-251R(NF3dB)、プリアンプなしの場合が (4)、更に自作の 10 エレ八木にしてみたのが (5) です。
受信システム
S1-EBの強さ
S/N
差
(2) 80cmφDish
S8〜9
35dB
-
(4) 29eleループ八木
S7
25dB
(-10dB)
(5) 10ele八木
S6
23dB
(-12dB)
29 エレループにプリアンプなしと言う、いわば「小型標準」のシステムでも、435MHz で 10W で上げたキャリアが、S/N 25dB も取れました。実際にこのアンテナで2局ほど SSB での QSO ができました。確かに「楽」ではありませんが、十分に交信に使えます。
更に、ブーム長さが 50cm 無いような自作の 10 エレ八木でも試してみたのですが、何と 23dB で聞こえてきました。もっとも、-2dB と言う結果が出てはいますが、SSB の返り信号はかなり聞き取りにくかったので、画面キャプチャを取った時は、たまたまピーク値が良かっただけかも知れません。しかし、SSB でも交信不可能には思えませんでしたし、CW の CQ は問題なくコピーできました。
と言う訳で、S1 はやはり強力です!。
2001/8/13 の 21:57:53 (JST)、AO-40 がアジア上空を飛翔中に、S1 帯の送信が突然途絶えてしまいました。S2 帯に比べ 10dB 近く良好なダウンリンクが得られていただけに、非常に残念です。8/4 の S1 帯試験運用開始からわずか9日間、もっと色々テストをしておけば良かったなねと悔んでいるところです。
S1 送信機の現状については、まだ再調査中ですが、復活してくれることを切に祈っております。
by Yoshihiro Imaishi JF6BCC/KH2GR
mailto:jf6bcc@jarl.com
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